【楽観主義を科学的に身につける】健康と長寿を引き寄せる実践習慣
こんにちは!美容薬剤師 佑:Taskです。
突然ですが、みなさんは「楽観主義」と聞くと、どんなイメージを持ちますか?
「ポジティブシンキング」と同じ?それとも、「お気楽な性格」のこと?
実は、楽観主義は単なる気分の問題ではなく、科学的に健康や長寿に影響を与えることが証明されています。
「未来は良くなる」と思える楽観的な思考が、寿命を延ばし、病気のリスクを下げるという研究があるのです。
しかも、驚くことに、楽観主義は「食事」や「運動」よりも強く健康に影響を与える可能性があるというデータも!
つまり、毎日のスキンケアや食事管理と同じように、「楽観主義」を取り入れることが、美しく健やかに生きる秘訣になるかもしれません。
今回は、楽観主義と健康・長寿の関係を明らかにする2つの研究をもとに、その秘密を探っていきます。
「#美しく生きる人は毎日生まれ変わる」ために、今日からできる「楽観主義の習慣」も紹介するので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
楽観主義は長生きにつながる(論文①)

「楽観主義のレベルが高い人ほど長生きする」——これは、単なる精神論ではなく、科学的に証明された事実です。
楽観主義は、「良いことが起こる」という一般的な期待や、「重要な結果を自分でコントロールできるため、未来は良い方向に進む」と信じる心理的特性です。これまでの研究では、より楽観的な人ほど慢性疾患を患うリスクが低く、早期死亡の可能性も低いことが報告されてきました。本研究ではさらに、楽観主義が平均11~15%の寿命の延長と関連し、85歳以上まで生きる「卓越した長寿(exceptional longevity)」の確率が高まることが示唆されました。また、この関係は社会経済的状況、健康状態、うつ症状、社会的つながり、健康行動(喫煙・食事・飲酒など)に関係なく成立していました。これらの結果から、楽観主義は高齢者の寿命を延ばすための重要な心理社会的資源である可能性があることが示されています。
Optimism is associated with exceptional longevity in 2 epidemiologic cohorts of men and women
2019年に発表された研究では、「楽天主義が寿命を延ばす」ことが大規模なデータ分析によって示されました。
この研究は、以下の2つのコホート研究を対象に行われています。
- 看護師健康調査(Nurses’ Health Study):アメリカの看護師(69,744人)が対象
- 退役軍人調査(Veterans Affairs Normative Aging Study):男性退役軍人(1,429人)が対象
コホート研究とは?
コホート研究は、ある特定の集団(コホート)を長期間追跡し、「特定の要因(例:楽観主義)」が健康や病気の発症にどのような影響を与えるかを分析する研究手法です。例えば、「楽観的な人とそうでない人で、寿命に違いがあるのか?」 を調べる場合、楽観主義のレベルを測定し、その後数年~数十年にわたって健康状態を追跡します。この方法は、因果関係を推測しやすく、実際の生活環境に基づいたリアルなデータを得られるため、医学や公衆衛生の分野でよく使われています。
− エビデンスピラミッド(エビデンスレベル)
それぞれの参加者の「楽観主義レベル」を測定し、その後の寿命を追跡調査した結果、楽観主義レベルが高い人ほど、寿命が11〜15%長いことが明らかになりました。
また、楽観主義が最も高いグループは、85歳以上まで生きる確率が高かったのです。
楽観主義は病気リスクも下げる(論文②)

「楽観的な人は長生きするだけでなく、病気にもかかりにくい」——これもまた、科学的な研究によって証明されつつあります。
近年の研究により、楽観主義のようなポジティブな心理的特性が、特に心血管疾患をはじめとする健康リスクの低下と関連していることが示されています。ランダム化試験では、楽観主義は後天的に習得可能であることが証明されています。もし、楽観主義と幅広い健康上の成果との関連が確立されれば、公衆衛生の向上や寿命の延長につながる新しい介入方法が生まれる可能性があります。本研究では、楽観主義と特定の死因ごとの死亡率の関連を評価しました。その際、社会人口学的要因やうつ症状といった交絡因子、および健康行動や健康状態といった媒介因子の影響を考慮しました。この研究では、看護師健康調査(Nurses’ Health Study)に登録された70,021人の女性の前向きデータを用いました。楽観主義の傾向(dispositional optimism)は2004年に測定され、全死因および特定の死因ごとの死亡率は2006年から2012年にかけて評価されました。Cox比例ハザードモデルを用いた分析の結果、楽観主義のレベルが高い女性ほど死亡リスクが低いことが判明しました。社会人口学的要因を調整した後、楽観主義のレベルが最も低いグループと比較して、最も高いグループの女性は全死因死亡率のハザード比が0.71(95%信頼区間: 0.66, 0.76)でした。さらに、健康行動、健康状態、うつ症状を考慮に入れた場合でも、楽観主義と死亡率の関連は弱まったものの、依然として有意に残りました(ハザード比 = 0.91、95%信頼区間: 0.85, 0.97)。この関連性は、がん、心疾患、脳卒中、呼吸器疾患、感染症など、さまざまな死因においても確認されました。これらの結果から、楽観主義は多くの死因と関連しており、健康を向上させるための新たな研究や介入戦略のターゲットとして有望である可能性が示唆されます。
Optimism and Cause-Specific Mortality: A Prospective Cohort Study
2016年に発表された研究でもデータ分析によって示されています。
この研究は、以下のコホート研究を対象に行われています:
- 看護師健康調査(Nurses’ Health Study):アメリカの看護師(70,021人、平均年齢70才)
2004年に全参加者の「楽観主義レベル」を測定後、2006年から2012年までの健康状態を追跡した結果、楽観主義のレベルが高い人ほど、病気にかかるリスクが低く、死亡率も低いことが判明しました。
具体的なデータ(健康上のメリット)
研究結果を詳しく見てみると、楽観主義が高い人は低い人と比べて、以下のような健康上のメリットがありました:
- 総死亡率が29%低下
- がんの発症リスクが16%低下
- 心疾患の発症リスクが38%低下
- 脳卒中の発症リスクが39%低下
- 感染症の発症リスクが52%低下
これらの数値を見ると、楽観主義は単なる気分の問題ではなく、病気のリスクを抑える力があることが分かります。
性格が楽観的なだけで長生きする
「楽観的な人が健康的なのは、ライフスタイルが良いからでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、今回の研究では、健康的なライフスタイルに関する要素(食事・運動・喫煙・血糖値・コレステロールなど)を調整しても、それでも楽観的な人の死亡率は9%低かったという結果が出ました。
つまり、楽観主義そのものが健康と寿命に独立した影響を与えている可能性があるのです。
楽観主義を身につける方法

ここまでの研究結果から、「楽観主義が長寿や健康に大きな影響を与える」ことが分かりました。
では、楽観主義は生まれつきの性格なのでしょうか?それとも、後天的に身につけることができるのでしょうか?
実は、研究によると楽観主義は「学ぶことができる心の持ち方」 であることが分かっています。
つまり、意識して習慣を変えれば、誰でも楽観的な思考を身につけられるのです。
楽観主義を鍛える3つの習慣
楽観主義を高めるためには、日々の思考や行動を少しずつ変えていくことが大切です。
以下の3つの方法を試してみましょう。
「コップの水理論」を実践する

楽観的な人は、物事の良い面を見つけるのが上手です。
例えば、コップに水が半分入っている状況で…
- 悲観的な人:「もう半分しかない…」
- 楽観的な人:「まだ半分も残ってる!」
この考え方は、「Glass Half Empty or Half Full ?(グラスが半分空か、半分満ちているか)」 という言葉で知られ、楽観主義者(楽天的思考)と悲観主義者(悲観的思考)を見極める有名な性格判断法とされています【1】。
楽観主義は生まれつきではなく、環境の影響を受けやすいことが、オックスフォード大学の研究でも示唆されています。
俳優のマイケル・J・フォックスのケースでは、遺伝的には「悲観的なタイプ」であるにも関わらず、幼少期に家族から肯定され、励まされた経験が彼の楽観的な性格を形成した可能性が指摘されています【2】。
つまり、私たちも「物事の良い面を見つける習慣」を意識することで、楽観的な思考を育てることができるのです。
最悪を想定しつつ、最善を信じる
楽観主義は 「何も考えずに楽観的になること」ではありません。
重要なのは、最悪のシナリオを想定しながらも、「それでも大丈夫」と考えられるかどうかです。
例えば、仕事で大きなプレゼンがあるとき…
- 悲観的な人:「失敗したらどうしよう…うまくいく気がしない…」
- 楽観的な人:「うまくいかない可能性もあるけど、それでも何とかなる!大丈夫!」
「うまくいかないことも想定しつつ、楽観的な未来を信じる」ことで、ストレスを抱えすぎず、柔軟に対応できるようになります。
私も以前は、大勢の人の前で話したり、自分よりも立場が上の人に提案するときなど、とても緊張しやすく、プレッシャーに弱いタイプでした。
ですが、「やったもん勝ちでなんとかなる!」と考えるようになってからは、プレッシャーも克服し、むしろ楽しめるようになりました。
「失敗しても、それを糧に成長すれば良い」と前向きに考えることで、挑戦へのハードルがぐっと下がります。
「楽観的な言葉」を口に出す
言葉は思考に影響を与えます(私もこの歳になって、ようやくこの言葉の意味がわかりました)。
例えば、「大丈夫」、「なんとかなる」、「きっとうまくいく」といった言葉を普段から意識して使うことで、脳が楽観的な方向に働くようになります。
実際に、ポジティブな言葉を繰り返すことで、ストレス耐性が高まり、前向きな行動を取りやすくなるという研究もあります。
特に、不安になったときや落ち込んだときに 「大丈夫、大丈夫、まだやれるよ」といった言葉を自分に言い聞かせることが、楽観主義を育むポイントです。
私自身も、「大丈夫、大丈夫だよ!」、「きっと良くなる!」 という言葉を おまじないのように口癖にしています。
実は、昔はよく不安になりがちでしたが、この言葉を意識的に使うようになってから、気持ちが楽になることが増えました。
「あなたの口癖はどんな言葉ですか?」
もし普段、悲観的な言葉を口にしがちなら、今日から「大丈夫、大丈夫!」とつぶやいてみませんか?
【まとめ】楽観主義は習慣で身につけられる

ここまで、楽観主義が長寿や健康に良い影響を与えることを科学的研究をもとに解説してきました。
そして、楽観主義は生まれつきの性格ではなく、日々の習慣によって身につけることができるのです。
楽観主義を身につける3つの方法:
・「コップの水理論」を実践する → 物事のポジティブな側面に目を向ける習慣をつけよう!
・最悪を想定しつつ、最善を信じる → どんな状況でも「なんとかなる!」というマインドを持とう!
・「楽観的な言葉」を口に出す → 「大丈夫」、「きっと良くなる」などの言葉を意識的に使おう!
「#美しく生きる人は毎日生まれ変わる」
これは、スキンケアや健康管理だけでなく、心の持ち方にも当てはまる言葉です。
今日から、少しずつでも「楽観的な習慣」を取り入れてみませんか?
楽観的な思考が、あなたの未来をより良いものにしてくれます!